【ピロリ菌について】
再発を繰り返す胃潰瘍・十二指腸潰瘍は以前は治らない病気でした。しかし、ピロリ菌を除菌することによりほとんど再発が生じなくなることが証明されました。ピロリ菌は1982年にオーストラリアのマーシャルとウォーレンという研究者により発見され、その功績を認められ2005年にノーベル医学生理学賞を受賞されました。
[H.pylori感染]→胃炎→胃癌(99%がピロリ菌感染/既感染*)、MALTリンパ腫、胃十二指腸潰瘍、etc.
胃がんを発症した胃のほとんどが、(1)ピロリ菌「現感染(げんかんせん)」(今現在感染している状態) (2)ピロリ菌「既感染(きかんせん)」(以前に感染していたが、今現在胃の中にピロリ菌がいない状態) のいずれかの状態であり、胃がんとピロリ菌感染は密接な関係にあることがわかっております。逆にピロリ菌に感染したことがない「未感染(みかんせん)」の胃では、胃がんを発症する可能性は低いです。 (ただし、近年ピロリ菌未感染の胃癌が増加傾向にあります。)
ピロリ菌「感染」・「未感染」・「既感染」の状態は胃カメラでほぼ判定できます(「胃炎の京都分類」等参照)。ピロリ菌の感染がある方・以前あった方は、胃がん発症の可能性があるため画像診断(胃カメラ)が必要です。そのため定期的な検査をお勧めします。
(胃カメラに関してはこちらをご覧ください)
[参照 * Matuo T.Ito M. Takata S. Tanaka S. Yoshihara M. Chayama K.Low prevalence of Helicobacter.2011 Dec;16(6):415-0.)]
【ピロリ菌の除菌について】
胃カメラなどの画像診断で悪性所見(がん等)がないことを確認し、胃炎・潰瘍等、ピロリ菌感染が疑われる所見がある場合、ピロリ菌の有無を検査(採血、生検、便検査等)で調べます。ピロリ菌感染が陽性(現感染)の場合、除菌を行います。
ピロリ菌の除菌は2種類の抗菌薬と胃酸を抑える薬の3種類を1日2回(朝・夕食後)7日間飲みます。内服終了後4週間以上あけた後、尿素呼気テストで除菌成功・不成功の判定を行います。(当院では少しでも再燃例を除外するため8週間以上あけて検査しております)1次除菌で除菌できなかった場合は、抗菌薬の組み合わせを変えた2次除菌を同様に行います。
現在、保険診療で行える除菌は、1次除菌、2次除菌の2回のみです。詳しくはご相談ください。